俺がサンタの贈り物

クリスマスが近づくと思い出す…。
その頃、俺は団地の小学生たちの親たちから頼まれて、冬休み子供スキー教室を開いていた。
その子の家庭は母子家庭で、経済的に厳しいと親からの願いを聞き入れて、特別割引で招き入れたのだった。
クリスマスもとっくに過ぎた年末、レッスンの合間の話題で　｢サンタから何をもらったんだい？｣と子供たちに聞いた。
それぞれ、自慢しあうようにプレゼントの品を述べる子供たち…。
｢うちには、サンタまだ来ないんだよなあぁ…｣と元気なさげにその子。
｢えっ、3年生くらいの子が、まだサンタを信じてるの？｣　って疑問と　｢サンタが送れてやって来る｣と信じてる、その子に　｢お母さんが頑張って、レッスン代を払った俺がサンタクロースプレゼントだよ｣　とは、さすがに言えなかったな。
俺は会った事もないその子の親に宛てて、手紙を書いた。
｢俺をクリスマスプレゼントに選んでくれて、ありがとう。その事は秘密にしておいて、息子が20歳になったら話してくれ｣と。
クリスマスがもうすぐ、やって来る。