左手


大正生まれで83歳になる俺の親父は、今も元気で一人で冬の羊蹄山にスキーを持って出かけて行く。
札幌に初雪が降ったその日、親父は車にスキーを積み込み、一人で手稲山に出かけようとしていた。
そして、倒れた!
通行人の通報で親父が運び込まれた病院は、同じ脳梗塞で倒れたお袋が運び込まれたのと同じ病院だった。右半身不随となったお袋は、その後10年ほど生きて、一昨年そのまま逝った。その病棟の廊下にお袋が左手で書いた習字が展示されていたのを、俺は10年後に見た。
・・・・。
歳をとるとカタカナが読めない。
だいぶ元気になってきた親父が俺のblogを「お前のプロブ読んでるよ。」と言う。
「プロブじゃねぇよ、ブログだよ。」と俺は言わない。
まぁ、そんなもんだよ。
お袋はこの左手の作品を気に入ってはいなかったんだがな・・・。
「星のかがやく、ふるさと」は俺の心の中で、いつまでも輝いている。

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