まるハ


「まるで初めて」スキーをする人の事を、当時のスキースクールでは「まるハ」と呼んでいた…。
 その頃の俺は車なんて持っていなかったし、金もなかった。国道から1週間分の食料とスキーを担いでテイネハイランドまで登り、駐車場の下の林の中に隠れるようにテントを張り、毎日スキーをしていた。リフトに乗る金もなく、女子大回転コースの端っこを1日6本と決めて、歩いて登っていた。そしてある日、俺は三浦雄一郎に発掘された。
 スキースクールのインストラクターとなった1年目のシーズンは、毎日「まるハ」の担当で推進滑走、全制動、プルークボーゲン・・・。半日のレッスンで客はなんとか滑れるようになるのだが、俺はまったくスキーをしてない。
 午前のレッスンを終えデスクにゼッケンを戻すと、ポケットに握り飯を突っ込み北壁リフトに飛び乗り、リフトの上で昼飯だ。当時の一人乗りノロノロリフトは山頂まで12分もかかった。それでも頑張って、昼休みに3本「濃いのを大事に」に滑った。
そして午後もまた、「まるハ」・・・
 実は今日、久々にスノーボードをしてきた。回転ばぁ~んの端っこのパウダーを気持ちよく滑って下りてくると、下の平らな所で「まるハ」のレッスンを見かけて、昔を思い出しました。
「まるハ」で「まるダ」な君たちに栄光あれ!

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